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長挨拶

会長 藤 一美

 このたび、令和5年度第23回通常総会において林昌洋前会長の後を受け、第18代東京都病院薬剤師会(以下、都病薬)の会長に就任いたしました聖路加国際病院の後藤一美でございます。会員の皆様の期待と希望に応えられるよう精一杯努める所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ご存じのとおり少子高齢化の波は大きく、その対応として国策は、社会保障と税の一体改革を推し進めており、病院や薬局の機能分化を進めることでその役割を明確にし、入院、外来と在宅において患者さんをシームレスにケアする地域包括ケアを構想する中で地域における医療・介護施設、薬剤師間の連携強化は必須の状況に置かれております。

 しかしながら、この数年のコロナ禍にあって医療を取り巻く環境は、大変厳しく、度重なる医薬品の供給障害などもあり、会員の皆様にあっては過大な労務を強いられてきたことと存じます。また、本来連携とは、患者さんを中心としたチーム医療であり顔が見えるつながりが重要となりますが、感染対策としてのマスクや黙食、会合の禁止など人のつながりやコミュニケーションが大きく損なわれる状況にありました。今年度に入りコロナ禍の出口がようやく見え始めた今、都病薬は、患者さん一人ひとりの最善の薬物治療を提供するために薬・薬連携を推進していきたいと考えております。具体的には退院時指導書やトレーシングレポートの活用促進など病院薬剤師の関わりがとても重要であり、その実現のため東京都薬剤師会との協働や研修会の開催を進めていきたいと考えております。

 一方でWebシステムの普及により会議や研修会はその開催様式を大きく変え、これまでの移動に係る時間や会場スペースなどを削減する効率的な働き方や自己研鑽の機会を得ることにつながりました。このような環境変化に対応しつつ、新時代の薬剤師が求める自己研鑽のあり方もゼロベースで検討し、研修成果の見える化や新しいスタイルの研修事業を展開できるよう取り組んでまいりたいと思います。

 一方で働き方改革における医師の負担軽減策としてのタスク・シフト/シェア推進は、病棟薬剤業務の拡充など病院薬剤師のさらなる職能発揮が期待されるところであります。この大きな機会において残念なことは、病院における薬剤師の人員不足であり、都病薬会員ご施設におかれましても例外ではなく人員確保が急務となっております。

 都病薬ではこれまで薬剤師の人員確保のため中小病院部を中心として薬学部学生に向けた病院薬剤師の働きややりがいを照会することで新卒薬剤師の雇用機会を創出しており、一定の成果を挙げているところであります。これまでの雇用推進事業を継続しながらさらに今年度は、東京都からの補助金を活用した病院薬剤師の雇用促進策を検討し実行してまいりたいと思います。職能発揮の基本は職場環境の整備であり、まずは人員の確保に始まり人材育成がその根幹をなすものと考えます。

 働く人が幸せでなければ人を救うこと、人の苦しみを助けることは困難だと思います。では人の幸せとは何でしょう。人の幸福感とは、自己決定力に大きく関係するといわれております。自己の研鑽とは興味から始まり、ほんの少しの好奇心が人を動かし成長につながるものだと思います。

 薬剤師一人ひとりがしっかりと実現したい自分を捉え、そこに向かうための動機付けを大切にし、会員の皆様が描く未来像に近づくことのできるように会務を遂行していきたいと存じます。どうか都病薬の事業、活動にご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

2023年6月

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